万葉倶楽部株式会社「豊洲 千客万来」

屋内インフラシェアリング 2024年1月導入
商業施設

  • 所在地

    東京都 江東区

  • 延床面積

    豊洲場外江戸前市場:約14,690㎡ 東京豊洲万葉倶楽部:約19,095㎡

  • 構造

    豊洲場外江戸前市場:地上3階 地下1階 東京豊洲万葉俱楽部:地上9階 地下1階

多くの来場客にもインフラシェアリングで安定的な通信環境を提供

2024年2月の開業以来、江戸の街並みを再現した木造の建築や東京の夜景を一望できる足湯などで大きな話題を集めている「豊洲 千客万来」。70店舗を擁する商業施設ゾーン「豊洲場外江戸前市場」と、大型温浴施設「東京豊洲万葉倶楽部」の2つの建物で構成された施設でJTOWERの屋内インフラシェアリング・ソリューションを導入いただきました。インフラシェアリング導入の決め手や導入後の通信環境の状況、今後の展望等についてお話をうかがいました。

お話をうかがった方

業務推進本部 施設管理部
目黒 森央 様

決め手は将来的には4キャリアの対策が可能であること

― 開業以来、多くのメディアでも取り上げられ、話題の施設として注目されています。

「豊洲 千客万来」は当初、2018年の開業を予定していたのですが、方針の変更や新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、紆余曲折を経て2024年2月に開業を迎えることができました。開業以来、多くのお客様にお越しいただいています。

この施設は豊洲市場と周辺の「賑わいの創出」を目的として進められてきた事業です。もともとこの土地は豊洲市場しかないようなところで、市場も水曜日と日曜日は休業日。そこにオフィスビルや豊洲 千客万来が開業したことで、人の流れが生まれ、賑わいの創出につながっているのではないかと思います。

万葉俱楽部は小田原に本社を持つ会社で、全国規模の知名度はまだありませんでしたが、全国ネットのテレビ番組などでも紹介されるようになり、地方からこの施設を目的にお越しいただく方も増えています。

― 開業にあたり、通信環境の整備についてはどのような課題をお持ちでしたでしょうか。

この土地は市場以外に何もなく、独自の通信環境整備は必須でした。
インバウンドのお客様も、日本のお客様も、今は何をするにもスマートフォンが当たり前です。これまでの施設ではフリーWi-Fiを整備し使用していましたが、つながりづらいことも多く、メンテナンスも大変。そうなると、携帯キャリアの電波に頼らざるを得ません。
近年は、施設の管理を行う様々なシステムもLTE機器が多くなっています。例えば、水のろ過システムも、以前は光回線での通信でしたが、今はLTEが主流で通信の担保が欠かせません。

もう一点重要だったのは、入居する各店舗の支援です。
商業施設棟は、築地の場外市場の雰囲気を持ってくるというコンセプトで、小さい店舗がひしめきあっているような活気ある雰囲気をイメージして設計されました。ただ、ふたを開けてみたらコロナ渦が直撃し、開業時期もずれましたし、多くの飲食店が打撃を受け、出店に踏み切ること自体も難しい状況となりました。出店を決めていただいたとしても、小さなお店でそれぞれ通信を引くことは大きな負担になります。そこで施設として不感知対策を実施することも重要でした。

― JTOWERにはどのような経緯でお話をいただいたのでしょうか。

不感知対策は必須という中で、JTOWERの名前も選択肢としては出ていて、最終的にはゼネコンにも相談をして、お話を聞くことになりました。
JTOWERを選んだ一番の理由は、楽天モバイルといった新しい携帯キャリアにも対応しており、将来的には4キャリアの対策が可能ということです。
万葉倶楽部では2020年、豊洲 千客万来に先んじて、「ミナカ小田原」という、商業施設や宿泊施設を含む複合施設を開業しました。この施設では、代表の携帯キャリアが幹事会社となり、3社で共同構築を行う事業者共同での通信環境整備を行ったのですが、残る1社については「つながらない」とお客様からクレームが入りました。
JTOWERであれば、今後、こうした携帯キャリアの追加があったとしても、基地局を接続するだけで容易に行えますし、そこが一番期待したところでした。

― 開業までの対応やフォロー体制はいかがでしたでしょうか。

調整は大変スムーズで、施工の方々もしっかり対応いただけましたので、安心してお任せすることができました。
商業施設は江戸の街並みを再現した建物で、構造や内装に東京の多摩地域で育成した木材「多摩産材」が使われています。メンテナンスのことを考えたら設備は露出している方がもちろんよいのですが、意匠の特性上、アンテナは見えないよう設置するといった要望にもしっかり対応していただきました。
今回こだわったのは、屋上のアンテナ設置です。屋上には東京の夜景が見渡せる足湯があるのですが、今はSNSの拡散による宣伝効果も大きく、ストレスなく使える安定した通信環境を用意したいと考えました。こうした要望も確実に整備していただいた効果もあり、SNSを見て海外の方々が訪れるきっかけにもつながっていますし、テレビ番組や映画、ドラマなどのロケ地としてのお問い合わせも増えています。

スマートフォンはスタッフの必須ツールに

― 開業後の通信環境のご利用状況はいかがでしょうか。

今は、電話が通じるだけでは不十分で、お店の情報や予約、使い方など、あらゆるものをスマートフォンで調べる場面が増えています。QRコードでアクセスし見てもらうというコミュニケーションも多く、今後、70店舗でそうした取り組みが行われたとしても安心の環境になりました。

施設運営の裏側でも多数の機器類を使用していますがトラブルもなく安定しています。
例えば、この施設周辺は市場もあり多くの業者様がインカムを使用しており、インカムの電波の混線が起こる可能性があるとの情報もあったため、施設のスタッフは携帯アプリのインカムを利用しています。このアプリも施設の通信環境がベースになっています。商業ゾーン、温浴施設、事務所など、広い施設内で様々なチームが動いている中で、一斉同時通話や、緊急時の連絡なども行うことができ、アプリのインカムは欠かせないツールとなっています。
これまで温浴施設では、スタッフはあえて携帯電話を持たないよう運営をしてきました。ただ、予約状況の確認などこれまでアナログで管理をしていたものが新たなシステムによってスマートフォンで管理できるようになり、時代とともに、スマートフォンはスタッフに必須のツールとなっています。

― 2022年に万葉倶楽部は25周年を迎えられました。今後はどのような展開をお考えでしょうか。

万葉倶楽部の祖業は銀塩写真の現像なのですが、1997年に第一号館となる「東京・湯河原温泉 万葉の湯」を開業したのが温浴事業のはじまりです。その後全国に温浴施設を開業し、現在では11の施設を運営しています。

基幹店舗となる「豊洲 千客万来」、2020年に開業した「ミナカ小田原」に加え、小田原駅西口のビルマンションの建替事業にも参画しており、新たな施設の運営に注力していく方針は変わりません。その一方で今、直面しているのは、開業から一定の年数が経過した施設の改修です。
近年は、建設費用の高騰も深刻ですし、コロナ渦の経験も経て、インバウンドだけでなく国内のお客様にもご支持いただかなくてはなりません。
非常に難しい運営を迫られる中でも、サービスの向上に向けた自動化や新たな技術に対応した機器の導入などを見据え、根本となる通信インフラは重要で、今後もしっかりと整えていく必要があると考えています。

― 今後、JTOWERにご期待いただくこと、ご要望などございましたらお願いいたします。

携帯キャリアの利用誘致はぜひ引き続き期待をしたいところです。今後、新たな通信事業者が更に事業を拡大していく中でも、携帯キャリア主導ではなく、JTOWERのような独立系の会社に間に入って調整をしていただくことは意味があると考えています。

今後も安定的な通信環境の提供をよろしくお願いします。