H.U.グループホールディングス株式会社「H.U. Bioness Complex」

屋内インフラシェアリング 2021年3月導入
研究施設

  • 所在地

    東京都あきる野市

  • 延床面積

    約66,000m²

  • 構造

    地上5階

インフラシェアリングなら携帯キャリアの追加も圧倒的にスマート

臨床検査事業国内大手のH.U.グループの重要な中核施設「H.U. Bioness Complex」。世界最大規模の自動化ラインと最先端の技術を有する検査ラボ棟に加え、さまざまな知見をもった研究者同士が交流しイノベーションの創出を目指すR&D棟、ダイニング・カフェやホール等が集まる厚生棟といった複数の建物により構成された大規模な施設に、JTOWERの屋内インフラシェアリング・ソリューションを導入いただきました。
この施設における通信環境の重要性や、インフラシェアリングを導入いただいた決め手、メリットなどについてお話をうかがいました。

お話をうかがった方

IT本部インフラサービス部 部長
高尾 謙太郎 様
インフラサービス部
ネットワーク&クラウド・サービス課 課長
柳堀 雄一 様
インフラサービス部
ネットワーク&クラウド・サービス課
中島 義春 様

「圧倒的な技術力と効率性」を実現する最先端のセントラルラボラトリー

― 「H.U. Bioness Complex」は、H.U.グループの事業展開においてどのような位置付けなのでしょうか。

H.U.グループは、検査・関連サービス事業、臨床検査薬事業という2つの領域を同じ傘下に持つ数少ない企業グループです。さらに3つ目の柱として、病院内の滅菌をはじめ、手術や内視鏡室の業務支援、医療機器の保守点検などの病院経営にかかわるサービス、介護関連のサービスなどのヘルスケア関連サービス事業を展開しています。こうした事業を通じて、一人ひとりに寄り添ったヘルスケアを提供することに挑み続けています。

H.U. Bioness Complexは、その中核を担う施設で、「圧倒的な技術力と効率性」というコンセプトを実現する最先端のセントラルラボラトリーとして2020年に竣工しました。

H.U. Bioness Complexという名称の“Bioness”は、バイオとビジネスを組み合わせた造語です。バイオは命のデータの蓄積。ビジネスは業界にイノベーションを起こすという意味が込められています。そして“Complex”は、様々な知見を持った人と人が繋がり、共創が生まれるという意味を込めており、この施設はH.U.グループのヘルスケアビジネスの複合体といえます。

グループの中核級施設として必要な6つの条件があります。それは、「自動化の追求」「ITやAIの活用」「効率的な動線」「免震・耐震構造」「研究開発の充実」「福利厚生の充実」で、H.U. Bioness Complexはその 6つ全てを備えた施設として創設されました。
中でも検体検査は、自動化を徹底しているだけでなく、「検査を止めない」という社会的使命のもと、事業継続性を重視し運営されています。さらに、幅広い基礎研究や製品、サービスの開発、環境への取り組みもこの施設の重要な役割です。

― 通信環境整備の面ではどのようなことを重視されていたのでしょうか。

この土地は、様々な場所から運ばれてくる検体を迅速に受け入れるため、基幹道路のそばという交通の利便性と、事業継続性の観点から堅牢な地盤であることを理由に選ばれました。屋外に基地局はあるものの、大規模なコンクリートの建物で、室内は電波が届かないところが多くなることが計画段階から予想されました。複数の建物で構成される広い敷地内で、携帯電話がつながらなければ社員同士の連絡もとれません。

またこの施設は、社員が通常業務を行う場であるほか、研究開発機能を持ち、外部の方を招いて様々な研究を行ったり、講演会や研究会などを開催できるホールも備えています。さらに、見学ルートを設け、検査の様子を実際に見ていただくこともできるという、ショーケースのような位置付けでもあります。
このように多くの方が訪れる施設で、もはや社会インフラとなっている携帯電話が使えないという状況は回避しなくてはなりません。

各携帯キャリアの個別対策であれば、追加の不感知対策は諦めていた

― 電波環境整備としてインフラシェアリングの導入を決定いただいた理由を教えてください。

初期の基本設計の段階から携帯電話が使えるようにと相談しつつ仮設計を進めていました。通常であれば各携帯キャリアと個別に調整をする必要がありますが、まとめて対応してもらった方が圧倒的に良いと思いました。これがバラバラだったら、工事の時期がずれるとか、ケーブルやアンテナをどうするかといった調整も大変だったでしょう。携帯キャリアが追加されるとしても、インフラが既にあって、そこに接続をする方が圧倒的にスマートです。

― 当初は一部の携帯キャリアのみで運用開始となりました。

当初、社用携帯が使えることが最低限カバーすべきミッションで、限られた携帯キャリアの利用で運用を開始したのですが、外部からいらっしゃるお客様からも、つながらないというお声をいただいていました。

そこで、JTOWERにも相談し、その他の携帯キャリアにも働きかけを行ったのですが、インフラシェアリングだったからこそ、その他の携帯キャリアにも協力をあおぎやすかったと感じています。
この施設は、検査や研究開発を行うという特性上、稼働を開始してからは、外部の方が入ることができない場所が多く、稼働開始後に追加で工事をするのは現実的ではありません。そのため、これがもし、携帯キャリアの個別の対策だったら、後から別の携帯キャリアの設備を追加する工事は行えず、あきらめるしかなかったでしょう。インフラシェアリングを選んでいたからこそ、後からでも拡張することができました。施設の竣工から徐々に携帯キャリアの利用が増え、電波状況を改善することができました。

最後まで通信品質にこだわったアフターフォロー

― 導入後のJTOWERのサポート体制はいかがでしたでしょうか。

共用装置の稼働を開始した後、部分的に電波状況が良くない箇所があり、社員からもクレームが出ていました。その都度、JTOWERに相談をしていたのですが、本当に真摯に、最後まで品質にこだわって対応いただきました。
状況を解析し、設備を点検してもらったのですが、この施設には無線装置からトータル90近くものアンテナを設置しています。それでも、問題があるのではないかと思われた箇所以外も徹底的にチェックをしていただきました。
電波は目に見えないもので状況を言葉にするのも難しく、不具合も、必ずしも再現性があるものでもありません。トラブルシュートも難しかったと思いますが、丁寧に状況をヒアリングして対応いただきました。こうしたアフターフォローがとてもありがたかったですね。その後は社員からのクレームもなく、安定的に使用できています。

― 御社の今後の展開と、その中で通信基盤の活用についてお考えがございましたらお願いいたします。

この施設はH.U.グループの研究開発の一端を担っており、新しい検査技術の開発やがんゲノムの検査も行っています。新しい検査方法や検査技術をここから発信していくという重要な役割を担っています。そのため、新しい検査が確立できれば、それを取り入れていくために施設としても進化をしていく必要があります。
こうした中、モバイル端末を使った業務改革も必要になりますし、ローカル5G、更に6Gなど新しい通信基盤の活用も見据えていくことになるでしょう。インフラとしての通信基盤の重要性は更に高くなっていきます。更なる体制の強化に向け、大阪にも新たな拠点展開を進めていく予定です。
今後の通信技術の発展に合わせ、JTOWERも進化をしていくと思いますし、変化に対応する新たな技術のハブとなって今後も支援いただけることを期待しています。